弁護士 小川義龍 の言いたい放題

 30年選手の弁護士小川義龍(東京弁護士会所属)が、歯に衣着せず話します。

弁護士の選び方(1)・・・広告(総論)

 さていよいよロングラン予定で連載を開始する「弁護士の選び方」。

 初回は検索サイトと弁護士について語ってみよう。

検索サイト上位の弁護士がいいのか?

 身近に弁護士の知り合いがいる人は多くないだろう。そうすると、弁護士を探したいという事態になったとき、口コミの紹介以外に頼りにするものとしては、インターネット検索ではないだろうか。グーグルやヤフーでキーワードを入れて検索して見つけようとするわけだ。

 そうして出てきた検索サイト最初のページに出てくる弁護士や法律事務所。つまり検索サイト上位の事務所、これは、果たして頼りになるのだろうか?

実は必ずしもお薦めできない

 検索サイト上位の弁護士や法律事務所の中には、広告宣伝費にお金をかけているところがある。大手企業並みにお金をかけてあちこちに登場したりしている。そういう弁護士や法律事務所が優れているのだろうか。実は必ずしもお薦めできない場合がある。

普通の弁護士は多額の広告宣伝費をかけられない

 そもそも弁護士は、広告宣伝費として多額のお金をかけられるほど儲かる仕事ではない。確かに一件あたりの単価でみれば弁護士報酬は比較的高いけれども、それはオーダーメイドで時間をかけて仕事をせざるをえないからだ。だから、報酬単価は高くても、沢山の事件をいっぺんに引き受けることが時間的に難しいから、結局のところ、トータルではそれほどの売り上げにはつながらない。

 売り上げにつながらなければ、多額の広告宣伝費もかけられない。多額の広告宣伝費がなければ、業者にSEOを頼んだり、素晴らしく凝ったWebを作ることもしにくい。これが普通の弁護士の姿だ。

 ところが検索サイト上位の弁護士や法律事務所には、凄くお金をかけてここまで来ているなというところがある。ある程度インターネット広告に馴染んでいる賢明な読者諸兄姉なら、それがどんなものかは見れば何となくわかるだろう。

 そういう弁護士や法律事務所は、どうやってお金の力で検索サイト上位に座り込めるほどに広告宣伝費をかけられるのかというと、それは「大量生産」による弁護士業務の展開だ。

大量生産で稼ぎまくる弁護士

 弁護士の仕事は、本来大量生産できないものだ。その理由は、私のこのブログをご覧頂きたい(「弁護士業務と大量生産」)。

 しかし大量生産型の事務所は現に存在する。そういう事務所は、一定類型の事件を大量に受任するから、売り上げは多くなる。売り上げが多くなれば、広告宣伝費に回せるお金も多くなる。だから、検索サイト上位をお金で買いやすくなる。検索サイト上位に居ていつも目立っているから、ますます依頼者が訪れて大量に受任するようになる。大量に受任すると・・・この繰り返しだ。

 大量生産しやすい弁護士業務は、個人の借金問題、交通事故、残業代請求あたりが代表例だ。特に借金問題。

大量生産型の弁護士の陰に埋もれる普通の弁護士たち

 こういう大量生産型の弁護士や法律事務所が一概に悪いと言うつもりはない。

 むしろ問題は、一部の大量生産型の弁護士や法律事務所が検索サイトの上位を占め続けるため、多くの普通の弁護士が市民の選択肢から外れてしまっていることだ。

 弁護士は商売ではないから、普通の弁護士は金儲けできていない。だから広告宣伝費もかけていない(かけられない)。広告宣伝費をかけてまで大量に仕事をしようという発想がそもそも乏しい。だから特定の分野で世間的に著名だとか、定番ブロガーだとか、そういうのでもなければ、普通の弁護士は検索サイト上位には殆ど登場しない。そういう普通の弁護士を見落としてしまうのはもったいないといわざるをえない。

 商売上手の弁護士だけでなく、普通の弁護士も選択肢の中に入れて、弁護士を探すべきだろう。

検索サイト最初のページだけ見て選ぶなかれ

 商品を選ぶのであれば、検索サイト最初のページから選ぶので間違いないかもしれない。最初のページでヒットするということは、大手企業だったり売れ筋だったり、とりもなおさず資本主義社会で評価が高いということだからだ。

 しかし弁護士は、商売ではなく、大量生産もしにくく、ただの個人職人だ。だから、検索サイト上位だとか最初のページに掲載されているから間違いないとは、ゆめゆめ思ってはならない。金儲け上手の職人が必ず優れているとは誰も思うまい。そういうことだ。

 検索サイトから弁護士を選ぶ際には、上位ページだけでなく、検索結果を何ページかめくってみて、後ろの方に出てくる弁護士もちゃんと吟味してみる。これが必須だ。

具体的にどうやって見分ければいいのか

 もちろん検索サイト上位の弁護士や法律事務所にも優れた事務所はある。そうすると、優れたところとそうでないところとを、どうやって見分けたらいいのか。この先さらに、話を続けてみよう。

(つづく) 

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