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弁護士 小川義龍 の言いたい放題

 20年選手の弁護士小川義龍(東京弁護士会所属)が、歯に衣着せず話します。

面会交流拒否で,父親が親権者に

千葉家庭裁判所 松戸支部 平成28年3月29日 判決

 昨年,「面会交流拒否で親権者変更」された決定のエントリーを書いた。

 今回も同じく,子どもを連れて勝手に別居をした妻に対する離婚訴訟で,5年以上の長きにわたり子どもと面会交流を拒まれていた父親側に親権を与える判決が出たようだ。結論としては相変わらず珍しく,画期的だ。

 産経新聞の報道を一部抜粋引用すると次のとおりだ。

<長女(8)と同居し養育してきた40代の母親が別居中の父親(43)に親権を渡すよう求める一方、父親も母親に長女を引き渡すよう求めていた訴訟の判決が千葉家裁松戸支部であった。庄司芳男裁判官は「母親は父娘の面会を月1回程度にしたいと望んでいるが、父親は年100日程度の母娘の面会を約束している。長女が両親の愛情を受けて健全に成長するためには父親に養育されるのが適切だ」として、母親に対し、長女を父親へ引き渡すよう命じた。
 親権者や養育者を法的に決定する際には従来、成育環境が変わるのは子供に不利益との考えから同居中の親を優先する「継続性の原則」や、母親が養育するのが望ましいとする「母親優先の原則」などが重要な要件とされてきた。しかし29日の判決で、庄司裁判官は「母親側の『長女を慣れ親しんだ環境から引き離すのは不当』とする主張は杞憂にすぎない」と述べた。
 判決などによると、父親と母親は平成21年ごろから不仲になり、22年5月、母親が父親に無断で長女を連れて自宅を出た。母親は父娘の面会や電話での会話を拒否するようになり、父親は同年9月以降、長女と会えていないという。>

(引用終わり)

画期的だが,まだ一般化できない

 この判決は,まだ家裁支部レベルでの判断に過ぎず,確定したものではない。おそらく,母親側は判決に不服だろうから,控訴するに違いない。そうすると,未だこの先,東京高等裁判所と最高裁判所の判断が待っている。この結論が,東京高等裁判所でも維持されれば,今後,同種訴訟における先例的な意味が見いだせるだろう。

 逆に,東京高等裁判所で逆転されたりすると,こんな判決が,かつて地方支部で言い渡されたことがあったというだけのことになってしまう。そして,その可能性は十分ある。そういう意味では,まだこの判決が出たからといって,同種判決が続々登場するとは思えない。

 子どもを連れて勝手に別居した妻に対して,子どもの親権獲得ないし引き渡し(監護者指定)はもちろんのこと,面会交流の充実を求める父親側の請求は,実際のところ茨の道だ。まだ未確定の判決で,見通しは決して楽なものではなさそうにしても,その茨の道に対して,一筋の光を与えた判決であることは間違いない。裁判官の英断も,父親側代理人の努力も,いずれに対しても敬服するところだ。

 

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