法的手続を利用する場合に、弁護士を頼むかどうか、これは悩みどころだろう。弁護士は法的手続のプロだから、常に弁護士を依頼できればそれに越したことはない。しかし、弁護士を依頼するにはコストがかかる。だから、弁護士を依頼するかどうか悩ましい場面が出てくるわけだ。
これから何回かに分けて、裁判に勝つために、弁護士の頼み時を語ってみたい。
悩ましい場面
弁護士を依頼するかどうか悩ましい場面としては、相手と話し合いをする場合(示談交渉・調停など)、少額の請求をする場合(弁護士費用の方が高くつきそうな場合)、弁護士以外にも安くやってくれる人がいそうな場合(よろず解決屋など非弁護士)、荒唐無稽な請求を受けて立つ場合(見知らぬ人から借りてもいないお金を請求されて笑止千万に思える場合)、法的手続っぽいけれども弁護士の取り扱い分野とちょっと違う予感がする場合(不動産登記申請、特許申請など)などがありうるだろう。
まずは原則論
法的手続を利用する場合に、弁護士を依頼した方がいいのは原則だ。先ずはこの大前提ともいうべき原則論は抑えておきたい。
これは決して我田引水ではなく、およそ法的手続全般のプロが弁護士である以上、これを利用するに越したことはないという当たり前の話だ。しかし、プロを利用するにはお金がかかるから、原則とはいえ常にお金をかけてプロに頼む必要があるのかどうか、この点を検討しようとするのがこれから何回かに分けて連載する本稿だ。
この点、例えば地方裁判所で訴訟をやる場合、これは弁護士を依頼した方がいい典型的なケースだ。弁護士といえば裁判というイメージがあると思うが、そのとおりだ。弁護士は、法的手続の中でもとりわけ裁判を得意とするプロだから、訴訟をはじめとする裁判を利用する場合には、原則どおり弁護士を依頼した方がいい。こちらから裁判を起こす場合も、相手から裁判を起こされた場合も、いずれの場合でもそうだ。
特に、相手に弁護士が就いている場合には、こちらも弁護士を依頼した方がいい。相手の弁護士はあくまでも相手の代理人であり、こちらの利益を図ってくれるわけではないし、こちらにとって親切であるとも限らない。だから、相手に弁護士が就いていたらこちらも弁護士をぶつける、これは原則中の原則だと覚えておいた方がいい。もちろん裁判の根本的な部分は証拠と常識だから、事案によっては弁護士なしでも勝てる可能性はあるけれども、アマチュアがプロと試合をするのは危険だ。勝てるかどうか五分五分という事案だと、こちらが弁護士を依頼せず勝負すると負ける可能性が高まるということだ。
次回予告
さて今日は、もう次回予告だ。導入部だけで終わって恐縮である。私は一つの記事が長くなりすぎる嫌いがあるので、息切れせず更新頻度を上げる代わりに短めのブログを試行してみる。
次回は、話し合い(示談交渉・調停など)で弁護士を依頼した方がいいのかどうかについてお話ししてみよう。
(つづく)
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